私の自邸の屋根がまるい形をしているため、またアール屋根の住宅を何件か設計した事で「あそこの家は塚越さんの家によく似ている」とか「今、あそこで仕事をしているでしょ」と言われる事がよくあります。
アール屋根を考案したのは、周辺のゆるやかな山なみの丘陵に屋根の形を合わせたのと、ゆるく弧を描く屋根のカーブが家のたたずまいを優しくみせるためです。最近は軒を深くした切妻大屋根に外壁の一部に県産材の杉を貼った比較的シンプルな形の家をよくつくっています。和風でも洋風でもなく、何処にもないデザインだと思います。板の色を木の素地のままにしたり、一部黒やグレーにするだけでも随分印象が変わります。
どの家のデザインも、お客様の要望と現場周辺の状況を考慮し、私共の提案が加味されてできあがるものですから、決まったデザインで進めていくわけではありません。
したがって1軒、1軒の家がそれぞれの個性を持っていますし、流行に左右されずにあきのこないデザインを提供していきたいと考えています。
そして、大切な事はおしつけがましくなく、周辺の環境も考え、全体のバランスが良い建物は、美しく見えるという事だと思います。